110万円の贈与はいつから廃止されるのか?税制改正で本当に変わった点を解説

「110万円の贈与は、いつから使えなくなるの?」

子や孫への生前贈与を考えている方から、よく聞かれる疑問です。結論からお伝えすると、2026年9月時点で、暦年贈与の基礎控除(年110万円)は廃止されていません。

ただ、ルールが変わったのは事実です。個人的には、この「変わった部分」が「廃止」という言葉にすり替わって広まったのだと感じています。本記事では、国税庁の公表情報や税制改正大綱をもとに、正しい制度の姿を整理します。

CONDO(コンド)

110万円の贈与は廃止されていない

110万円の贈与は廃止されていない

まず、現状を3つの数字で押さえておきましょう。

110万円
暦年贈与の基礎控除(継続中)
3年→7年
相続財産への加算期間
年110万円
相続時精算課税の新しい基礎控除

国税庁の説明でも、贈与税は1年間にもらった財産の合計から基礎控除110万円を差し引いて計算するとされています。この枠は「もらう人ごと」に年110万円です。

たとえば父と母の両方から100万円ずつもらうと、合計200万円となり、110万円を超えた90万円に贈与税がかかります。

実際に変わったのは「7年加算」への延長

実際に変わったのは「7年加算」への延長

令和5年度税制改正で見直されたのは、生前贈与加算です。これは、亡くなる前の一定期間に受けた贈与を、相続税の計算に足し戻すしくみのことです。

2024年1月1日以後の贈与から、この期間が3年から7年に延びました。ただし、一気に7年になるわけではありません。

相続開始が2026年12月31日まで
これまでどおり相続開始前3年以内の贈与を加算
相続開始が2027年1月1日〜2030年12月31日
2024年1月1日から相続開始日までの贈与を加算(期間が少しずつ延びる)
相続開始が2031年1月1日以後
相続開始前7年以内の贈与を加算(完全適用)

延びた4年分(3年より前の贈与)については、合計100万円までは加算されない経過措置があります。

7年加算の計算例

毎年110万円を7年間贈与し、その直後に相続が発生したケースで比べてみます。

区分 贈与額 加算額
相続前3年以内 330万円 330万円
3年超7年以内 440万円 340万円(100万円控除後)
合計 770万円 670万円

改正前なら加算は330万円で済みました。相続直前の数年に慌てて贈与しても、節税効果はほとんど残りません。

一方で、遺産総額が相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以内なら、加算されても相続税はかかりません。

📝 制度を調べ直して気づいたこと

周りで「110万円贈与は終わるらしい」という声を耳にし、改めて国税庁の資料を読み込みました。意外だったのは、廃止ではなく「足し戻す期間」の話だったことです。早く始めた人ほど有利という構図が見えて、先延ばしをやめるきっかけになりました。

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相続時精算課税にも110万円の基礎控除が新設

相続時精算課税にも110万円の基礎控除が新設

もうひとつの大きな変更が、相続時精算課税です。これは、贈与時に2,500万円まで非課税で渡し、相続時にまとめて精算する制度のことです。

2024年1月1日以後の贈与から、この制度にも年110万円の基礎控除ができました。基礎控除の範囲の贈与は、相続財産に足し戻されません。

項目 暦年課税 相続時精算課税
年間の基礎控除 110万円 110万円
相続時の加算 最長7年分(基礎控除内も対象) 基礎控除を超えた分のみ
対象者 制限なし 60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫
切り替え いつでも精算課税を選択可 同じ贈与者からは暦年課税に戻れない

令和8年度税制改正大綱で決まったこと

令和8年度税制改正大綱で決まったこと

2025年12月に公表された令和8年度税制改正大綱にも、暦年課税の廃止は盛り込まれませんでした。

主な変更は、相続前5年以内に取得した貸付用不動産や不動産小口化商品を、時価に近い金額で評価する見直しです。2027年1月1日以後の相続等から適用されます。また、教育資金の一括贈与の非課税措置は、2026年3月末で終了しました。

すでに契約している口座の残額の扱いや、これから孫の教育費を援助する方法は、教育資金贈与の非課税措置終了後に知っておきたい残額管理と代替策で詳しく解説しています。

今後の見通し

次の焦点は、2026年12月ごろに公表が見込まれる令和9年度税制改正大綱です。暦年課税の見直しが議論されるかは、現時点では分かりません。制度変更は大綱で方向性が示されてから法改正に進むため、年末の発表を確認してから判断するのが安心です。

暦年課税と相続時精算課税の選び方

暦年課税と相続時精算課税の選び方

目安としては、贈与する人が高齢で残り期間が読みにくい場合、7年加算の影響を受けにくい相続時精算課税が向いています。

反対に、相続人ではない孫などへの贈与は、その孫が相続や遺贈で財産を受け取らなければ、暦年課税の加算対象になりません。長く続けられる若い世代への贈与では、暦年課税にも十分な意味があります。

受け取ったお金をどう育てるかも大切です。S&P500の複利効果を活かした長期積立と組み合わせれば、贈与の効果をより大きくできます。

💭 選ぶ前に考えておきたい視点

精算課税の110万円枠は魅力的ですが、一度選ぶと元に戻せません。個人的には、税額だけでなく「親の老後資金は足りるか」「きょうだい間で不公平にならないか」まで話し合ってから決める方が、後悔が少ないと感じています。

110万円贈与で失敗しないための注意点

110万円贈与で失敗しないための注意点

まず気をつけたいのが定期贈与です。最初から「10年間毎年110万円を渡す」と約束すると、総額への贈与とみなされるおそれがあります。

次に名義預金です。子ども名義の口座でも、通帳や印鑑を親が管理していれば、親の財産と判断されることがあります。贈与のたびに契約書を作り、受け取る人が自分で口座を管理することが大切です。

110万円を超えた場合は、翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要です。申告を忘れると無申告加算税がかかる場合もあります。

金融資産以外の対策としては、変額保険のしくみや金の分割による資産管理もあわせて比較してみてください。

まとめ

110万円の贈与は廃止されていません。変わったのは、相続前贈与の加算期間が7年へ延びたことと、相続時精算課税に110万円枠ができたことです。

加算期間が延びた今、贈与は早く始めるほど効果が残ります。家族の状況に合わせて制度を選び、迷ったときは税理士への相談も検討してみてください。

よくある質問(FAQ)

110万円の贈与は来年から使えなくなりますか?

現時点で廃止は決まっていません。今後の動きは、年末に公表される税制改正大綱で確認してください。

110万円以下の贈与も相続税の対象になりますか?

暦年課税では、加算期間内なら110万円以下の贈与も相続財産に足し戻されます。相続時精算課税の基礎控除内の贈与は加算されません。

110万円以内なら申告は不要ですか?

暦年課税では不要です。相続時精算課税は、最初に選択届出書の提出が必要ですが、基礎控除内なら申告はいりません。

両親から110万円ずつもらえば非課税ですか?

いいえ。暦年課税の枠は受け取る人ごとに年110万円なので、合計220万円のうち110万円に贈与税がかかります。

教育資金の一括贈与はまだ使えますか?

2026年3月末で新規の拠出は終了しました。それまでに拠出された資金は、引き続き非課税措置の対象です。

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